cocoleca magazine

助産師しおん先生のメッセージ vol.7 多くを知るより深く感じること

出産前のお母さんへ
share on
  • FaceBook
  • Twitter
  • LINE

助産師しおんです。

妊婦さんに、「安産できる人ってどんな人ですか?」
と聞かれることがあります。

そこで「子供みたいな人」と返事すると、結構びっくりされます。

特に高齢初産の妊婦さんたちには、
年齢要素を知識と年齢を重ねたことによる知性と知恵でカバーしよう
とお伝えしているのですから、無理もないですね。

実はこの言葉は、私自身が妊婦の時に自然なお産で有名な
愛知県の吉村医院の吉村先生にかけていただいた言葉です。

講演会で吉村先生に「安産のお守りに先生と写真を撮らせてください」
とお願いしたところ、「あなたは子供みたいだから安産できるよー」
という言葉を頂戴しました。

お産の仙人様みたいな吉村先生に、
「安産」という言葉をいただき勇気付けられたのと同時に、
「子供みたいなことと安産とどう関係しているのだろう」
という疑問が浮かびました。

人間は、過去・現在・未来という
時間的感覚の強い生き物と言われています。

大人になると知性が感性に勝り、
目の前の出来事を細かく頭で分析したり、
物事の良し悪しの判断ができるようになります。

これは、大人が脳の大脳新皮質が発達しているからできること。

大脳新皮質は知識を蓄え、
過去から学んで予測するという高度な部分を担当しています。

これに対し子供は、脳も成長過程。

どちらかというと、脳も動物に近く本能的で、
時間軸もほとんど「今」が中心。

子供のころ、夢中になって遊んでいたら気が付けば
あたりは暗くなっていたということはありませんでしたか?

時間感覚がなくなるくらい「今」に集中して遊んでいて、
あわてて家に走って帰った記憶が、私にもあります。

助産師として現場にいて、お産が進みにくい方って
お産の進行を頭で考えすぎる方や、
陣痛に頭も体もついてこなくてパニックになっている方。

どちらも、過ぎていく時間とこれからの時間ばかりが気になって、
「今」に集中できていない印象です。

「この時間はいつまで続くのだろう、
この痛みはどこまできつくなるんだろう、」と不安がつのって、
さらに焦りと苛立ちを産みます。

また、陣痛は始まったばかりなのに、
時計とにらめっこしながら陣痛間隔を記録している人や、
スマホでお産の実況している人も、
お産はまだまだだなと、助産師は判断し、
そっと産婦さんのベッドサイドから離れます。

実は痛みは自分に没頭するための強力なエネルギー
痛いから、自分の身体に集中できます

お産に感覚を集中できている人は、
「今、赤ちゃんが回った感じがする」とか胎児を感じる余裕があり、
陣痛の合間は余計な力が抜けているのでお産が進みます。

お産という高い山には、装備なしでは登れないのと同じ。

これからのことを考えて、妊娠した自分の身体に起こる変化や
子育てに向けての確かな知識を得たり、
体つくりなど行動に移したりする「備え」は大切なことです。

しかし実際にお産が始まってしまったら、
頭で「これから」を考えて構えてしまうより、
お産という「今」に集中して陣痛の波に身体を任せて、
自然体でいる方がお産は進みます。

「多くを知るより、今という時を深く感じること。」
吉村先生生がおっしゃた「子供みたい」の
私の答えはこの言葉かなと思います。

share on
  • FaceBook
  • Twitter
  • LINE

おすすめの記事

BACK TO TOP